新しい言語を学ぶのだけれど、辞書は電子辞書がいいのか?それとも紙の辞書がいいのか?
誰しも一度は迷ったことのある問題ではないですか?
そんなときよく見聞きするのは、
電子辞書の方がコンパクト、持ち運びが楽、意味を調べるのが早い
紙辞書の方が安い、電池不要、紙に触れる安心感
といったそれぞれの性質の違いから生じるメリット・デメリット論に終始して、最終的には
まぁ、結局は好みの問題では?
となりがちです。
これでは「読書は文庫本がいいか電子書籍がいいか」、みたいな話とあまり差がないですね。
でも辞書選びの問題は「外国語・語学学習」という目的があるので、読書における文庫本がいいか電子書籍がいいか、的な話とはそもそもの性質が異なります。
そこで、
・現在の学習の進捗がどの程度か
・将来的にその言語をどのレベルまで到達したいのか
といった「学習」という軸をいれてみると、この電子辞書 vs 紙辞書のメリット・デメリット論争はより立体的になってきます。
私は紙辞書を使ってスペイン語を学習しているのですが、その学習の過程で、
学習が進むほど電子辞書と比較した紙辞書のメリットが顕著になってくる
ということに気がつきました。
その気づきを中心に、どういう人に電子辞書が向いているのか、逆にどういう場合に紙辞書が向いているのか、ということを解説していきます。
Contents
語学中級者が感じる紙辞書のメリット① 綴りが似た頻出単語チェック機能
紙辞書の方が情報量が多い、とはよく言われます。
ぱっと開いたページに自分が調べたかった単語の他にも綴りが似た単語が前後にあるので、あわせて覚えられる、といったものです。(よく紙の新聞がいいかネット新聞がいいか論争でもこの話になりますね)
確かにその通り!
実際私も、辞書で引いた単語の前後の単語まであわせて覚えようとまでするほど意識高く勉強しているわけではないです。
ただ、勉強が進んで中級者以上になると、少し景色が違って見えてきます。
こちらは私が普段使っているスペイン語辞書の写真です。
見て分かる通り、数ある単語の中でも頻出単語については太字赤色になっていたりフォントサイズが他より大きくなっていて強調されています。
学習が進んで語彙力がアップしてくると、これらの強調された単語は『知っていて当たり前』という状態になります。
だからこそ、
ひとたび太字赤色で強調されているのに覚えていない単語に出くわすと
と、そこにフォーカスして、覚えいないことを悔しがり、食い入るように覚えようとします。
この、綴りが似た頻出単語チェック機能が言語学習中級者以上が感じる紙辞書のメリットの一つです。
語学中級者が感じる紙辞書のメリット② 類似単語の比較機能
言語学習中級者以上が紙辞書に感じるもう一つのメリットが、類似単語比較機能です。
例えばあなたがアマゾンでBluetoothイヤホンを買うとしましょう。
ある程度の目星をつけたうえで商品ページに飛ぶと、
「この商品をチェックしたひとはこんな商品もチェックしています」
なんていうのが出てきます。
クリックして見ると違うメーカの同じ価格帯の商品がでてきたり、同じメーカのより高価なモデルがでてきたり、どう違うのかな?といろいろ見ていくうちに
こんな感じになちゃた、という経験ありませんか?
この場合はアマゾンから類似品が提案されるケースですが外国語学習の場合、ある程度の語彙力がついてくると、
と、自分から類似する単語が思い浮かんできて「こっちの単語とこっちの単語はどう違うのかな?となってきます。
そんなとき、紙の辞書だと
こうやって複数のページを同時に開いてそれぞれどのような意味、ニュアンス、用法の違いがあるのか、見比べることが可能です。
例えばスペイン語には、「溶かす」を意味する単語が
・fundir
・derretir
・disolver
の3つがあります。
この3つ「溶かす」の違いはなんなのか?微妙なニュアンスが違うのか?用法が全然違うものなのか?地域差なのか?どれが一番の頻出なのか?
このように浮かぶ疑問について、最初は紙辞書で同時比較しながら違いを把握して、最終的にはGoogle画像検索を違ってイメージで覚えるようにしています。
類似単語(特に動詞)をイメージ(画像)で覚える方法を解説した記事はこちら▼
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その言語をどこまで極めたいか?到達点によって変わる辞書のメリット
上述した紙辞書のメリットをメリットと感じない、むしろデメリットと感じる人もいると思います。
だって紙辞書で同じページに出てきた単語の意味をわざわざ覚えたり、調べた単語と類似する単語をわざわざ調べていたりしていたら確実に時間が余分にかかりますから。
問題は、この余分にかかる時間を無駄と感じるか、有益と感じるか、の違いです。
この違いはその言語をどこまで極めたいか、もっといえば言語を学習する目的・目標をどこに設定しているか、で変わります。
外国語学習の目標が「テストの点数を取ること」の場合、余分にかかる時間を無駄に感じるでしょう。
外国語は学生という人生の限られた時間だけに強制的に学ばなければならないもの、と考えるのであれば、単語の意味を調べるのに不必要に時間をかけたくないでしょう。
それに、
・この英文を和訳しなさい
・この和文を英訳しなさい
といった翻訳を求めるのテストをに備える学習であれば、効率よく翻訳をしてくれるのは間違いなく電子辞書です。
一方で外国語学習の目標が「話せるようになること」の場合はいつ使う機会があるかわからない単語を調べる時間も無駄とは感じないでしょう。
留学をしたり海外と関わる仕事をしたり、将来的にその言語が使われる環境に身を置くことを想定していたら、今は必要なくてもいつか使うことがあるかもしれない単語を覚える価値があるので、翻訳には一見非効率でも紙辞書の方がメリットがあります。
電子辞書と紙辞書のメリット比較、総括
以上の考察からこの電子辞書と紙辞書のメリット比較論争は以下のような結論でまとめます。
学校での使用を目的として、翻訳を軸にした学習をしている人。
タイピングさえ慣れれば紙の辞書より圧倒的に早く効率的に翻訳作業が可能です。
話せるようになることを目的として、リスニングや音読なども交えて多角的な学習をしている人。
初心者のうちは意味を調べるのに時間がかかるなどして非効率だが、学習が進んでいくとメリットを感じられるようになる。
私はスペイン語を話せるようになることを目標に学習しているので、紙辞書を使っていますし、そこから得られるメリットを感じているので、仮に電子辞書が安く売られていても移行する気はありません。
こちらのまとめ、電子辞書にするか、紙の辞書でするか、で迷っている皆さんは一つの意見として参考にしてみてはいかがでしょうか?
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