青年海外協力隊の悩みとの向き合い方 活動が行き詰ったときは「なにもしない」をしてみる




異国の地で活動する青年海外効力隊には悩みがつき物だ

私も配属されてから数ヶ月は自分が何をすればよいのかわからず、悩んでいた。

以前、そのことについては以下の記事にまとめた。

 

青年海外協力隊の悩みが『配属先(カウンターパート)が優秀すぎる』ってどうなの?

2018-03-17

 

私の配属先・カウンターパートはとても優秀で、派遣前に想定していた活動、やろうとしていた講習会、住民達に伝えようとしていた言葉は最初から配属先のほうでできてしまい、自分がグアテマラに来た意味を見出せないことに悩んでいた。

そうやって試行錯誤しながらも先日中間報告を終えたオチョ(@diadecanicula)だけど、今回は前回の記事に続いて、そんな悩みとどのように向き合い、何を実践してきたかを中心に書くことにする。

 

 

派遣前に刷り込まれた先入観をすてる

先ずやるべきことは先入観を捨てること

 

派遣される国は貧しい国で、そこに住む人々の暮らしをよくするために派遣される

 

あるいは、

 

配属先はお金がなく、働き方にも問題があるので改善しなければならない

 

といった青年海外協力隊の活動に対して描いていた先入観を捨て、目の前の人や物事と向きああうことからスタートする。

これらの先入観は実際に派遣される前、訓練や応募時点で目にした協力隊の広報で目にした情報によって刷り込まれているのかもしれない。

例えば訓練中の研修で扱うケーススタディ、過去の先輩の活動事例、クロスロードなど情報誌に掲載された記事などなど。

もちろん、これらは多くの隊員が実際に現地の活動で遭遇しうるケースを想定してえり抜かれたもので、役に立つノウハウが詰まっていることには違いない。

 

ただし活動は十人十色、それらが自分に当てはまるとは限らない。

 

私の個人的な印象では、

現地に何かしらの欠陥がある⇒それを解決するのが青年海外協力隊の活動だ⇒その解決の過程でした工夫が青年海外協力隊の成果だ

といったようなテンプレが多いように感じるし、私も実際そのようなイメージを持ってグアテマラに来た。

先ずはそういった先入観を捨てることにした。

 

 

活動に行き詰ったら“なにもしない”をする

私は活動に行き詰って悩んでいたとき、あえて“なにもしない”をすることにした

とはいっても、部屋に引きこもってユーチューブを観たり、漫画を読みふけったり、そうやって本当になにもしなかったわけではない。

“なにもしない”をする、というのは、活動を放棄するのではなく、下手に動かずに配属先の活動に一切逆らわず乗っかる状態のことだ。

一旦自分のやりたいことや理想の成果は置いておいて、カウンターパートにひたすらくっついて、配属先の活動=自身の活動として、彼らをサポートすることに徹する。

個人的な「自分の色を出したい欲」や「何か達成した感」を求めて動いたりしない。

悩みをそのまま放置して配属先の活動に一旦身をゆだねてみることにした。

 

 

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辛抱して待てば、アイデアは突然降りてくる

青年海外協力隊の活動はたったの2年間しかないのに“なにもしない”をする、なんて悠長なことを言っていられるのか?と不安になるかもしれない。

でも、焦りや不満を頭の片隅に置いたまま“なにもしない”状態をしばらく続けていれば自然と、突然空から降ってくるように「あ、こんなことしてみよっかな」ってアイデアが降りてくる

ちょっと精神論的に聞こえるかもしれないけど、ただ、自分の場合はそうだった。

私の場合は配属先が優秀で、職人のためのイベントを企画したり、住民向けに講習会を開いたり、地方の村に出向いて組織化を働きかけたり、配属先が中心になって精力的に活動していた。

正直、彼らの活動に乗っかっていさえすればそれなりの活動ができたし、それらをネタにするだけでそれなりの報告書も書けるし、報告会のプレゼンも難なくこなせたと思う。

でもそうしなかったのは、それだけで終わりたくなかったから。

「日本人としてこの地にきたからには何かしら自分にしか出来ないことをしたい。自分の存在意義を活動で示したい。」

“なにもしない”をしながらも、そのような思いを頭の片隅に持ち続けていると、優秀に思えた配属先にも少しずつほころびだったり、自分がポジションを取れそうな隙間だったりが見えてくる

その瞬間がくるのを、配属先の活動をサポートしながら辛抱して待つ。

 

 

「なにもしない」の先に見えてきたボランティアとしての自分のポジション

例えば私の場合、“なにもしない”をしているうちに2つの活動軸を持つようになった。

日本の経済を題材にしたビジネス講座

私の配属先・カウンターパートは「マーケティング」、「会計」、「経営」といったテーマのビジネス講座が得意で、教科書に載っているような体系化された知識を住民に教えることにおいて、私が彼らに貢献してあげられることはほとんど何もなかった。

ただ、日本から来た私は、トヨタやソニーといった世界的に有名な企業をグアテマラの人たちよりも身近に感じて育ってきた。

日本の本屋さんに行けばビジネス書コーナーがあり、そこには世界のマーケットの第一線で活躍する企業の経営者が書いた本がたくさんある。

一方でグアテマラの人々にとって、そのような大企業が身近な存在になく、外国語を使えない彼らではインターネットを駆使してもそれらの情報にアクセスするのはまだ困難な状況だ。

そんな彼らに日本の経済について、講習会のカタチで具体的な企業の事例や経験を踏まえながら住民達に伝えることを活動として取り組んだら、自分なりの活動になるのではないか、と思った。

現地の職人との草の根交流

また、事務所にはカウンターパートと私の二人しかおらず、そのためカウンターパートはいつも忙しい。

特に、経済省に所属する彼は、その省内の会議だったり、市役所との会議だったり、県庁との会議だったり他団体(NGO、金融機関等)との会議だったり、様々な会議で事務所を離れていることが頻繁にある。

最初の頃はそれらの会議に自分もついていっていたが、政治的な会議に日本から来たボランティアが口を出せる余地などほとんどなく、ただ座っているだけだったので、しばらくしてから行くのをやめるようになった。

その代わりに、カウンターパートがそれらの会議に帆走している間に職人さんたちとの距離を近づけ、彼らの傍にいる時間を多くするように心がけようと思った。

例えば、特に予定がなくても職人さんのところに足を運び、一緒にお茶しながら、家族について、人生について、宗教について、日本文化について、などなど世間話をする時間をとっている。

そこから何か成果物を生まなければならないというプレッシャーから動くのではなく、ただ、配属先がカバーしきれていない、自分がいるべきところを探したらたまたま職人さんたちの傍だった、ということだ。

 

 

活動に意味があるかではなく、活動を楽しめているかを自問自答する

そんな活動に意味はあるのか?

と、そんなこと問われても答えは風の中。

数字に意味を見出したい人は1年目にとったデータと2年目にとったデータを比較して、その差分が活動の成果だといえばいいし、子供の笑顔に意味を見出したい人は子供達と過ごした時間や思い出を成果だといえばよい。

そういった意味づけは最終報告の際に各々が自分の基準ですればよく、報酬のないボランティアには良し悪しを客観的に査定する基準はない。

ならば最終的に一番頼りになる基準は、

 

活動を楽しんでいるかどうか?

 

これに尽きる。

 

「自分の活動に意味はあるか?」よりも「自分は活動を楽しんでいるか?」を自問し、楽しくないならどうすれば楽しくなるかを考察することで、悩みは解決の方向へ向かっていく。

活動を楽しんでいる人は往々にして、現地の人ともコミュニケーションが上手く取れていて、スポーツや勉強など充実した余暇を過ごしている。

また、誰にもあなたの活動を評価したり、批判したりする権利は無い

そういった評価や競争が好きな人は2年間の活動が終わって、青年海外協力隊という看板を下ろしてから各々のフィールドで思う存分すればよい。

たったの2年間しかない活動期間、せっかくだから楽しく過ごして、心の余裕が出来ている範囲内で活動をより充実させたらいいんじゃないかな。

とまあそんな風に、グアテマラにきて1年が過ぎた今感じている今日この頃。

活動は十人十色、私の経験はほんの一例にすぎませんので、参考になる人もいれば、参考にならない人もいる、まあ色々でしょう。

みなさんの悩みが少しでも解決の方向に向かいますように。

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

一部上場企業での海外営業、シンガポール駐在を経て、いろいろあって気がついたらグアテマラでボランティア。30にして「レールから外れる」を経験した男の働き方観、離婚経験を含む生活観、そしてボランティアとして生活したグアテマラの魅力、スペイン語学習方法を中心に発信します。