海外旅行、なかでもあまり大手の旅行代理店が取り扱っていないようなマイナーな途上国への旅行情報を調べよう!
そう思ってGoogleで一次情報を得ようと検索してみると、必ず出てくるのが世界一周系バックパッカーのブログ。
世界一周系バックパッカーの多くはブログからの広告収入等で旅行資金を稼いでいることもあって、SEO対策がしっかりされていて、Google検索の上位にもしっかり表示されます。
役に立つ情報もある一方で、途上国の情報がバックパッカーのブログに偏ってしまうことに問題意識を持っています。
特に途上国の治安の悪さや現地でのトラブルをネタにしてブログで必要以上に恐怖を煽っているようなのを見ると、ちょっとなぁ、と。
そのような途上国の偏った情報がさも常識かのように蔓延して、その国のイメージダウンになりはしないかと心配です。
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バックパッカーブログの情報が偏る具体例
世界一周系のバックパッカーって、(もちろん全てではありませんが)往々にして以下のような特徴があります。
- なるべく節約したいエコノミーな旅のスタイル
- ちょっと無茶しても平気な若さと体力
- 安定よりも刺激を求める
バックパッカーの特徴に偏りがあれば当然、彼らが発信する途上国の情報もそれに伴って偏ります。
バックパッカーの情報が偏ることによって発生する問題を具体的に分かりやすく示してくれたのは、討論番組でよくお目にかかる評論家、東浩紀さんの著書『弱いつながり-検索ワードを探す旅-』です。
この著書では、実際に東さんがインドに家族旅行に行った際に経験したエピソードが紹介されています。
東さんは家族で行くインド旅行の出発直前まで、インド入国にはビザが必要である、ということを知りませんでした。
既に日本でビザを申請するような時間的余裕もなく、アライバルビザに頼るしかなかった、という状況でのワンシーン。
「インド アライバルビザ」で検索するとほとんどヒットしない。不安になります。(中略)数少ないヒットはバックパッカーに日記ばかり。そしてそういうひとのブログを読むと、おしなべてアライバルビザを取るのはむずかしいと書いてある。(中略)
では現実はどうだったか。結論から言うと、一瞬で取れた。審査もゆるかった。
要約すると、バックパッカーのブログばかり読んでアライバルビザが取れるかどうかびくびくしていたけど、現地に行ってみたら実際にはたいしたことはなかった、というエピソードです。
この経験からわかったことは、インドについての情報は、ブログを書く人々の行動によってフィルタリングされているということ。要するに、アライバルビザはバックパッカーに厳しかったんですね。こぎれいな格好して、「いいホテルに泊まる」と言えば楽に取得できる。しかしそんな情報はネットには載っていない。バックパッカーしか、インドについて書いていないからです。
筆者はこのようにエピソードを締めくくっており、なるほど、と腑に落ちました。
東弘樹さんの『弱いつながり-検索ワードを探す旅-』
評論家の目線で旅をテーマに本を書くとこんな風になるのか、と非常に新鮮で面白かったのでオススメです。
バックパッカーのブログがスリルに満ちている理由
東弘樹さんがその著書『弱いつながり-検索ワードを探す旅-』の中で示したように、インターネットから得られる途上国の情報って実情以上に「危険」や「スリル」に満ちています。
財布すられた!この国の治安最悪!
金ぼったくられた!ここの国民は金の亡者だ!
実際に検索してみると、こんな風に現地の危険を煽るようなタイトルの記事がたくさん散見されます。
バックパッカーがブログで発信する情報にそのような偏りがあるのはなぜか?考えられるポイントを挙げてみます。
バックパッカーの情報収集不足
バックパッカーがひとつの国に滞在するのは概ね数日~数週間、長くても2~3ヶ月間程度かと思います。
そのようにいわば、通り過ぎるだけの国なだけに情報収集を怠っていることが考えられます。
同じ国の中でも地域によって治安の良し悪しって全然違いますし、選挙や宗教行事などで一時的に治安が悪化することもあります。
そのような情報は、たとえば外務省のウェブページで治安情報をチェックできたり「旅レジ」に登録すればタイムリーな治安情報をメールで受け取ることが可能です。
実際話を聞いてみると、そのような基本的な情報収集も怠って旅をしているバックパッカーが大勢います。
貧乏旅行で安全にお金をかけられない
また、少ない資金で旅をしているのもバックパッカーの特徴です。
安全は本来お金をかけてでも買うべきもの。
そういった最低限かけるべきお金をかけずに旅をしていたら危険な目にあうリスクが増すのも当然っちゃ当然です。
旅行情報の基準がバックパッカーのブログになってしまうと、普通に常識的なお金をかけて旅行する人とは感覚がそもそも一致しません。
バックパッカーにとって途上国のトラブルはネタ
そしてなによりも、途上国でのトラブルをネタとしてスリルに満ちた旅行日記をブログに書く傾向があるのが一番の原因でしょう。
バックパッカーにとっていわば、途上国でのトラブルは武勇伝なのでしょう。
途上国の日本人宿でバックパッカー同士が危険な目にあったエピソードで自慢大会しているのにも遭遇したことがあります。
あんなの、はっきりいって自慢でもなんでもないと思うんですけどね。
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バックパッカーのブログに途上国のイメージダウンさせない
ブログは基本的には何を書いてもいい、個人が持つ自由なメディアです。
自己満足や自己アピールに使おうと、誰にも文句を言われる筋合いはありません。
でも、そんな自己満足や自己アピールによってある国のイメージダウンにつながるようなことはあまり歓迎されるべきものではありません。
ではどうするべきか?
ここでバックパッカーを攻めたって仕方ありません。
それよりも海外在住者や、その国のことが好きで何度も訪問したことがあるような人が、正しい情報をSEOを意識してコツコツ発信することが大切だと思います。
特に海外在住者は、旅行者よりも治安情報に詳しかったり、保有している現地の観光情報も量・質ともに旅行者のそれを上回っています。
一方で、海外在住者の弱みとしては、貧乏バックパッカーとは違ってブログで生計を立てたりはしていないので、SEOの勉強不足だったり、そもそも日記としてしか書いていないといったものがあります。
同じように、青年海外協力隊など途上国に1年以上滞在している人たちにもこのような旅行・観光情報の発信を期待しています。
「稼ぐ」という目的ではなく
「現地の正しい情報を発信したい」
「日本人旅行者にもこの国のすばらしさをもっと知ってほしい」
「多くの人にこの国のファンになって欲しい」
そういうモチベーションでSEOを学びつつブログを書く海外在住者が増え、ネット上に海外の有益で良質な情報が溢れればいいなぁ、なんて思っています。
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