青年海外協力隊活動 任国の家族から教わった幸せのあり方

青年海外協力隊活動 任国の家族から教わった幸せのあり方




青年海外協力隊は先進国の豊かな人が途上国のそうでない人に何かを教えに行くもの?

少なくとも私にはそのような意識は一切ありません。

むしろ現地の人から学ぶことの方がよっぽど多かったように思います。

私の青年海外協力隊としての活動はグアテマラ現地で活躍する職人さんたちの支援、ビジネス講座やフェリア(イベント)を開催することで彼らの製品のプロモーションをお助けする、といったものです。

確かに、教えるという立場で彼らの前でプレゼンをすることもたくさんありました。

でも、過重労働や自殺、セクハラやパワハラなど労働環境をめぐって様々な問題を抱える日本からきた私が本当の意味で教えることってあるのだろうか?

そんな疑問を払拭できないままグアテマラで出会ったとある羊毛職人の家族、そこで見た父と息子の間で受け継がれる職人の魂、ささやかな生計のなか支え合って生きていく家族の幸せのあり方、そこで感じたことについて書きたいと思います。

 

グアテマラで出会った家族経営の羊毛工房

グアテマラで出会った家族経営の羊毛工房

ガッタン・・・・・ガッタン・・・・・

 

羊毛を打ち付ける機織り機の音が響くグアテマラのとある羊毛工房、ここで私たちは羊毛職人一家の仕事ぶりを見学することになりました。

別の地域の職人さんを連れて羊毛職人の家を訪問し、どんな仕事をしているのか、仕事をすす上でどんな悩みを抱えているのか、どんな工夫をしているのか、などといった意見交換をすることで仕事の質を高めあえるよな、そんなことを意図して企画してツアーです。

この羊毛職人さんは100%自然染色にこだわって作品を作っていて、絨毯やクッションカバー、ポンチョなどといった質の高い製品を作っています。

 

途上国で見た家族の支え合い

途上国で見た家族の支え合い

家族でこの羊毛工房を経営しているルイスさん一家は、家族のそれぞれが自分の役割を担って支えあって暮らしています。

羊毛機織の道一筋で家族を支えてきた職人であり一家の大黒柱でもあるルイスさん。

この工房のこと、どの機材をどの程度の力具合でどうやって動かせばどうなるか、その全てを把握している職人さんです。

簡単にやって見せてくれた羊毛から糸を紡ぐ作業も、実際にやらしてもらうとなかなか難しい・・・

ベテランの職人さん特有の工房との一体感がありました。

 

オチョ
口数は少なめ、シャイ、でも熱い心、そんなところに日本の職人さんとの共通点を感じるな

 

ホセ
ラテンの男性は情熱的で陽気、なんていうイメージがあるけど、グアテマラの地方に暮らすインディヘナの男性はシャイな人が多いんだよ

 

途上国で見た家族の支え合い

 

オチョ
この女性はなにをやっているんだろう?

 

マリア
彼女はグアテマラの家庭料理、トルティーヤを焼いているところよ

 

羊毛職人の家庭を支えるお母さんは私たちを焼きたてのトルティーヤでもてなしてくれました。

 

オチョ
も、もうおなかいっぱいだぁ・・・

 

マリア
え・・・まだこんなにトルティーヤを焼いたとこなのに・・・

 

オチョ
い・・・いただきます・・・

 

と、そんな感じでおなかパンパンになるまでもてなしてくれるのもグアテマラ流。

 

途上国で見た家族の支え合い

 

コチラは機織をするルイスさんの息子。

ルイスさんが工房の説明をしている間、その片隅で熱心にポンチョを織り続けていました。

父親の背中を見て羊毛織りを学んだそうです。

父から子に受け継がれる職人の技術、そして職人の魂。

こうゆうのって、シンプルに素敵。

 

途上国で見た家族の支え合い

ルイスさんが工房の説明をし、息子さんが機織に精を出している傍らで熱心にスマホゲームをしていた末の男の子。

たまに駄々をこねるとお兄ちゃんが作業を中断して優しくあやしてあげる。

まぁ今はアレだけど、もう少し大きくなったらお兄ちゃんを見習うんだぞ!(笑)

 

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受け継がれるものと新しく生まれるもの

受け継がれるものと新しく生まれるもの

こんな風にお互いに支えながらお仕事をして、暖かい家庭を作って、幸せそうに暮らしているグアテマラの家族。

彼らに何かを教える?何かを与える?

うーん、しっくり来ませんね。

日本でサラリーマンをしていたとき、こんな風に幸せそうな家族の笑顔を見る機会なんてあったかなぁ・・・

 

そんな中、この日のハイライトとなったとある一コマ。

ルイスさんにこんな質問をしてみました。

 

オチョ
ルイスさんの製品のブランド名はなんですか?

 

質問を受けると、ルイスさんは困惑したような表情。

ルイスさんこれまでやってきた集客方法はいたってアナログなものでした。

同郷の友人がたまたまグアテマラ第二の都市、ケツァルテナンゴにてスペイン語の語学学校をやっているとのことで、そのスペイン語学校で工房見学ツアーを企画し、外国人の生徒達にお土産を買ってもらうなどしているんだとか。

なので、困惑しているのはきっと、特にブランド名とか考えていなかったからなんだろうなぁ、と思っていました。

すると、息子さんが、携帯電話の画面を見せてくれた。

息子さんは、この工房のFacebookページを作っていたのです。

アナログな手法で集客し、家族を養うまでにこの工房を支えた父のルイスさんの職人魂を受け継ぎつつ、Facebookページを使っての集客という、独自の発想で自分なりに仕事を得ようと試行錯誤する息子さん。

この父と子、世代の異なる職人が、お互いの持っているものを持ち寄って一つの『ものづくり』に挑む、その感じにすっごくほっこりしました。

素敵な家族だなぁ・・・こんな家族、将来自分も持てたらなぁ・・・

そんな風に、グアテマラの家族から大事なものを学んだ気がしたのでした。

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2 件のコメント

  • 素敵なお話でした。
    18-1でアルタベラパス県コバンに赴任していた者です。今後も楽しみに読ませていただきますー

    • Esquivel Mariさん
      先輩、はじめまして。
      コメントありがとうございます。
      グアテマラの生活を知っている方にこの感動が伝わって、光栄です。
      これからも色んな記事を書いていこうと思っていますので、よろしくお願いします。
      オチョ

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    ABOUTこの記事をかいた人

    一部上場企業での海外営業、シンガポール駐在を経て、いろいろあって気がついたらグアテマラでボランティア。30にして「レールから外れる」を経験した男の働き方観、離婚経験を含む生活観、そしてボランティアとして生活したグアテマラの魅力、スペイン語学習方法を中心に発信します。