私は青年海外協力隊という、日本政府が運営するボランティアプログラムで中米の途上国、グアテマラにきています。
青年海外協力隊は日本で最も信頼のおけるボランティアプログラムで、お金の心配もいらないし、語学面のサポートも充実、そしてなにより安全対策・防犯対策についてここまで徹底してサポートしてくれる機関はありません。
にもかかわらず、残念なことに、
といった残念なお知らせが後を絶ちません。
日本で「ケータイ盗まれた」、「カバンひったくられた」なんて話したら大騒ぎなのに、途上国になると「割とよく見かける日常」になりかけているのが恐ろしい。
確かに途上国は日本より治安が悪い(というか海外の国で日本ほど治安のいい国なんてあまりない)のは事実ですが、事件に遭遇してしまう人にも原因があったはず。
盗まれた方が悪い、なんて乱暴なことは言いませんが、犯罪に遭った⇒その国の治安の問題、というのも短絡的過ぎます。
現に私はグアテマラ、という銃社会で中米の中でも治安の悪い国で生活しながらこれまで犯罪に巻き込まれたことはありません。
この記事では私が海外・途上国で実践してい防犯対策について事例を交えながら紹介します。
Contents
防犯対策以前にその国の治安情報を出国前から収集
さて、海外の防犯対策というと、
「おすすめ防犯グッズ7選」
「犯罪に遭ったときの対処法まとめ」
みたいなことを想像するかもしれませんが、私がこの記事で紹介するのは、
いかに犯罪に遭遇しないか、いかにターゲットにならずに過ごすか
に焦点を当てています。
そのためにまず、一番大事なのは事前にその国の治安情報を収集することです。
治安の悪い国には現地の人でもやらないこと、現地の人でも行きたがらない場所、現地の人でも外に出たがらない時期、というものがあります。
そういった基本情報も頭に入れずにその国に入って、財布を盗まれて、
「この国最悪、治安悪い!」
なんていっても、それはちょっと違うんじゃない?って話です。
具体的な情報収集の方法として、先ずは外務省の海外安全ホームページの確認でしょう。
国別、地域別に治安情報が細かく記載されているし、治安情勢に変化があったらその都度情報がアップデートされるので非常に便利です。
また、同じく外務省が運営するたびレジへの登録も不可欠です。
たびレジに登録しておくと、その国の在住者が大使館から受け取るような現地の最新情報、例えば
「外国人旅行者をターゲットにした犯罪が〇〇地区で発生した」
「〇月〇日の選挙の影響で××地区でデモが発生する予定」
などといった、タイムリーな情報を得ることが可能です。
最低限、このくらいはしておかないと、海外・途上国における防犯対策を十分にしている、とはいえません。
また、現地在住者の書いたブログを見るのもよいかもしれません。
参考にグアテマラの治安情報について私が書いた記事はこちら▼
在住者のブログとは対照に、世界一周系の旅人のブログに書かれている治安情報はあまりおすすめしません。
やや偏見もありますが、彼らの多くは「エコノミーな旅のスタイル」「スリルを楽しむ」傾向にあり、在住者がやらないようなことや、在住者がとらないような交通手段で移動していたりします。
エコノミーな旅も魅力的ですが、途上国ではお金で安全を買う、という意識が大事です。
海外・途上国で犯罪のターゲットにならない為に頻繁に振り向く
さて、ここからは私が実際に海外・途上国の現地で実践している防犯対策です。
私が実施している中でも一番簡単に出来る防犯対策がこれ。
振り向くこと
何度も何度も、
しつこいくらい、多少大げさにでも、
振り向くのだ!(指を刺すのは挑発行為ととられる危険があるのでやめましょう)
とにかく道端で、なにもなくても、何度も何度も振り向くことです。
特に人通りの少ない道を通るときや、銀行でお金を下ろしたときなど、ちょっと気をつけようって時は、「ちょっと変な人?」って思われるくらいこれを多用しています。
こうして何度も振り向くことで私が意識していること、それは、
私は周囲を警戒していますアピール
「私は警戒していますよ~」ということを周囲にわかりやすくアピールしているのです。
引ったくりにしてもスリにしても、悪者だって同じ人間だから、リスクは出来る限り負いたくないもの。
犯罪を犯すにしても、少しでも成功率を上げるために盗みやすいターゲットを前もって吟味しているに違いありません。
みなさんがスリならどうでしょう?
30秒間ずっと背中を向けてふつーに歩いている人物と、
30秒間の間に何度も何度もアクロバティックな振り向きを見せる人物、
どちらをターゲットにしますか?
こんな簡単にできる防犯対策実施しない理由があるません。
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海外・途上国では常に一番近くにいる人との距離感を測る
上述の振り向く、ということとも関連して、実施しているのが、一番近くにいる人との距離感を測る、というもの。
意識しているのは、「一番近くにいる人との距離感」即ち、「一番近くにいる人が万が一襲ってきても逃げ切れるorその次に近くにいる人に助けを求められる距離が確保されているか」を確認することです。
この距離感をとっていたおかげで犯罪の被害にあわずに済んだ、という実体験もあります。
学生時代、当時ヨーロッパを一人で旅していたとき、ベルギーにて、夜遅くに地下鉄を利用したときのこと。
改札口を出て出口に向かって歩いていると、前方に二人組みの男が歩いていた。
時間も遅いし人通りも少ないので、この二人組とこれ以上距離を詰めてはいけない、と私の中でアラームが発せられた。
案の定この2人、歩くのがわざとらしく遅い、なんならこっちのことをチラチラ見ている。
彼らの歩調にあわせて私もゆっくりゆ~っくり歩く。
すると、階段を上る手前で、二人組のうちの一人が突然しゃがんで靴紐を結び始め、もう一人はそれを待たずにすたすたと階段を上り始めた。
私は立ち止まり、靴紐の男をじっと見た。
その男の靴紐がほどけていなかったことを知っている。
じっと見ていると、その男がこちらを振り向き、「先に行けよ」と言ってきたが、無視してじっと見続けた。
結局、痺れを切らして男達は去っていった。
後から冷静に考えると、なかなかスリリングな体験でした。
もしあの時、靴紐を縛っている男を何も警戒せずに追い抜いたら、前に歩いていた男と階段で挟み撃ちにされてたんじゃないか、と思います。
距離感を保つことの重要性、お分かりいただけたでしょうか?
こうして近くにいる人との距離を意識していると、例えばさっきすれ違ったはずの人が後からついてきている、なんてことにも気づきます。(ほとんどの場合はたまたま方向転換しただけですが)
それにしても、これだけ時間もコストもかからない、その都度意識さえしていれば誰でもすぐに実践出来る防犯対策、実践しない理由がありません。
海外・途上国では現地調達した財布を使用
私がグアテマラで日常的に使っている財布がコチラ。
どうでしょう?カラフルな刺繍が施されていてめっちゃくちゃかわいくないですか?
って、いやいや、別に財布かわいい自慢がしたいわけじゃなくて・・・
海外、特に途上国では日本で使っていたのと同じ財布を使わない!
そこらへんのお土産屋さんで売っている安~いやつを使えば十分です。
また、この財布の中にはその日に使うであろう現金だけを入れて、日本のクレジットカードや免許証なんかは別にしておきます。
これは、万が一財布を盗まれても被害を最小限にとどめるための対策です
盗まれても最悪現金だけなら、「ま、しゃーないか・・・」で済みます。
また、仮に万が一強盗にでも遭遇したら財布ごと渡して難を逃れようと考えています。
このように、犯罪に遭わない為の対策と平行して犯罪に遭ったときの対策も同時に講じておくことが大切。
もしかしたら私も、この対策によって被害が最小限に抑えられた、と安堵するときが来るのかもしれません。
海外・途上国の防犯グッズはウエストポーチが最強
さて、私が冒頭に紹介した犯罪被害者のみなさんに話に聞く限り、モノを盗られるとき、ターゲットになるのは大きく分けて二つです。
カバン
・カバンを刃物で切られて中のものをとられる
・カバンそのものをひったくられる
ポケット
・ポケットの中の財布orケータイをとられる
実際、ふつーに日本で生活していたら貴重品はこのどちらかに入れてしまいがち。
でも海外・途上国では日本と同じではいけません。
そこで、あるアイテムを一つ加えることで第3の選択肢が生まれます。
それがウエストポーチです!
特に、ウエストポーチを写真のように肩からかけて胸に密着させるようにしていると、よっぽどの不注意でないかぎりこの中に入っている貴重品を盗まれる・すられる、といったことはありません。
ウエストポーチを腰に巻くスタイルだと、そこから盗まれたケースが何度か聞いたことがあります。
スリの側からしたら、わざわざウエストポーチを胸に密着している人からお金を盗むよりはポケットやカバンから盗むほうがよっぽど成功率が高いだろう、となるのでターゲットになりにくくなる効果もあります。
このウエストポーチ最強説を唱えると、たまに耳にするのが、
いや、犯罪被害にあうよりはましだと思うんですけど・・・
まぁ、それでもオシャレの方が大事だ、という人は価値観の違いということでしょう・・・
海外・途上国の防犯対策総括 「命が一番大事」
結局はこれ、
なんといっても命が一番大事
です。
青年海外協力隊で派遣されている人は皆、事前に安全対策研修で学んでいる通り、万が一、凶悪犯罪に巻き込まれた場合は命を第一に優先し、「積極的無抵抗」を貫いて、命以外の差し出せるものは全て差し出す。
この記事で示した防犯対策は、そのような犯罪に出来るだけ巻き込まれにくく、仮に巻き込まれても被害を最小限に食い止めるために私が実施していることのほんの一例に過ぎません。
こういう実施例を共有して、少しでも犯罪被害に遭う人が減ってくれたらな~、と思います。
そして私自身もこういう記事を書いて再度、犯罪被害にあわないよう気を引き締めるのです。
海外・途上国現地でトラブルに巻き込まれないためにはこういった考え方も必要▼
とはいえ、私も初の海外渡航のときはてんやわんやでした▼