青年海外協力隊を“冒険”と表現することの甘さとリスクについて真剣に考える

青年海外協力隊に参加することを“冒険”と表現する人をごくたま~に見かける。

 

青年A
いよいよ青年海外協力としてアフリカに行くことが決まった!人生の冒険の幕開けだ!

 

青年B
オレ、世界中を旅するのが好きなんす、だから、やっぱ将来なりたいのは、青年海外協力隊っすね!

 

オチョ(@diadecanicula)だけど、そんな夢と希望に満ちた若者とは真逆の、不純な動機で青年海外協力隊になった自分だからこそ、グアテマラにきて受けた印象とともに、いかにこれが冒険じゃないかということや、冒険ばかりに目を向けることのリスクについて書くことにする。

“私的”グアテマラ到着時のリアルな印象

オチョ
(なんか東南アジアの主要都市と左程変わらないなぁ)

 

グアテマラに到着して間もなく、これが私のグアテマラに対して持ったファーストインプレッションである。

高いビル群、往来する車の喧騒、むわっとくる排気ガスの匂い、空港に降り立ってから語学学校のあるアンティグアまで移動する間、首都のグアテマラシティの光景は、私がこれまで見てきたジャカルタやホーチミンのそれと何となく似ていて、どことなく親近感が沸いた。

空港から、JICAの車で語学学校のあるアンティグアへ移動。

アンティグアに入るとようやく、これまで見たことの無い景色。

サスペンション泣かせの石畳、背が低くカラフルな家々、植民地時代に建てられたコロニアル様式の教会の数々、初めての中米に高鳴る鼓動。

 

オチョ
(あぁ、グアテマラに来たんだなぁ、おれ)

 

ようやくこの時、自分がまだ知らない世界に来たんだなぁ、という感覚を覚えた。

しかし、そんな“異国の地で吸う新鮮な空気”はそれほど長く続かなかった。

ホストファミリーにスペイン語で挨拶。

 

オチョ
(お、通じるじゃん)

 

ハウスメイトのイギリス人ともスペイン語で会話。

 

オチョ
(英語使わなくてもいけんじゃん)

 

夕食、家族&ハウスメイトと食卓を囲んで談笑。

初めて外国で使うスペイン語も、そこそこ通じた。

単語が分からなくても、日本人とは違う外国人の会話の間、みたいなものに慣れていて、こー言えばこんなリアクション返ってくるだろなぁ、みたいな先が読めてしまって、だから緊張しない。

もちろん、これまで必死に勉強してきたからこそ、その成果が出ているのも理由の一つなのだけど、それでも

 

オチョ
(あれ、こんなもんか・・・)

 

と、なんだか拍子抜けしてしまったのだ。

 

 

アドレナリンが出ない

思えば、異国に降り立ったときの衝撃が一番大きかったのは、大学生のとき、イギリスに留学したときだ。

先進国だし英語も通じる、今の自分からしたら全然大したこと無いことだけど、当時英語もしゃべれなければそもそも外国人と話したことなどほとんど無かった私にはものすごい衝撃だった。

しかも私は当時、語学学校の空港ピックアップサービスを拒否し、空港から自力でホストファミリーの家まで行く道を選んだのだ。

当然、道に迷った。

電車の乗り換えも分からない、バスの乗り場も降り場も、そもそも何番のバスに乗ればいいかも分からない。

泣きそうになりながらもどうにかこうにか家に着いたときは安堵したものだ。

 

サラリーマン時代もまた然り。

仕事で海外に渡航するとき、この出張でウン億円の案件の明暗が左右される、というプレッシャーの中でする出張は、通いなれた先進国のオフィスビルに向かう道のりにも張り詰めるほどの緊張感があった。

 

 

それらの自身の経験と照らし合わせると、青年海外協力隊というのは恵まれた環境だ

 

 

なんたって、JICAという巨大な国家組織がスポンサーについていて、万全のサポートを用意してくれる。

事前に70日間も使ってみっちり、その地で使う外国語を教えてくれる。

それだけでなく、異文化理解のこととか安全対策のこととか、海外生活が始めての人でも安心できるようにコレでもかっていうくらいみっちり訓練し、海外での不安は派遣前に出来る限り潰して最小限にしてくれる。

そして現地では、安心して腰を下ろせる場所までの移動や宿泊は全て手配されている。

更に更に、到着してからの(受け入れ組織により多少の良し悪しはあるが)プログラムもきちんと整備されていて、現地の日本人スタッフが逐一、生活や活動をサポートしてくれる。

海外初心者の人にとって、ここまで安心できる手厚いプログラムも無いのではないか。

アドレナリンなんて、出やしない。

 

 

誰でも安心して参加できる日本一手厚いボランティアプログラム

結論、日本一手厚いボランティアプログラム、それが青年海外協力隊の正体だ、決して冒険ではない。

確かに、途上国の僻地に派遣されて、日本とは全く違う環境、そこ生活する人々、それに混じってする生活、そういうギャップに対しての驚きとか混乱はあるかもしれないし、人はそれを感動と呼ぶのかもしれない。

だけど、一方で、これからどうなるか分からない“恐怖”や右も左も分からない状態で放り込まれる“不安”、みたいなものからは無縁だといえる(あってもそれを解決するための万全のサポートがある)。

青年海外協力隊という言葉の響きや、それにまつわる広告や映画といった創作物を見ると、何となく若者の冒険心をくすぐる作りになっているけど、実態は、なんたって年間総予算うん億円の巨大国家組織JICAが運営する日本一手厚い2年間のボランティアプログラム、当然ながらボランティアの安全の確保が第一優先で、予測しうる不安、リスク、不確実性は全て排除されている

もっとリアルな事情を言ってしまえば、そもそも税金を使って派遣されている身なわけだし、この期間に自由を追い求めること自体ナンセンスである。

なのであまり“未知の世界へ飛び込むんだ!”という期待を持ちすぎると肩透かしを食らうことになりかねないので注意が必要である。

 

 

冒険に終始した結果を大胆予想

特に、海外経験が少なかったり、アフリカとかものすごい僻地に派遣されると、そこでの生活そのものが未知なる領域過ぎて、アドレナリン出まくって、その興奮や感動に酔いしれる時期があるかもしれない。

肌の黒い人々と肩を並べて歩き、日本では使わない言語でお仕事して、“ザ・国際協力やってます”的な外国の子供達の笑顔に囲まれて、それらの写真をSNSにアップしたらなんか嬉しい気持ちになるのもわかる。

でもその、アドレナリンが出てわくわく興奮楽しい、という場当たり的な満足感で終始したら、2年後、多分だけど、何も残らない。

そういう人は、外国語の勉強は、とりあえずコミュニケーション取るのに困らないレベルに達したらそこでおしまい。

再就職しようとして、自身の興奮の2年間を面接官に力説したところで、

 

面接官
はぁ、それで、あなたは何ができるんですか?

 

でおしまい。

場当たり的な興奮、冒険などというなんとなくかっこいいイメージ、それに終始してしまったら帰国後もやはり場当たり的な道にたどり着いて、そこで“刺激が足りない”、“俺のいるべき場所はここではない”とか不満ばかり垂れ流すんじゃなかろうか

あ、これ全部想像だけど。

 

大事なのは、ちゃんと地に足をつけ、2年後のあるべき姿(ヴィジョン)を、ぼんやりでもいいから、ある程度思い浮かべて、そこから残された時間を逆算して、じゃあ今何をやるべきか、ていうのを考えて今を過ごすことだと思う。

海外生活体験なんてのはSNSにアップされた瞬間その役目を終える自己満足ネタでしかない。

別に自身の海外経験の豊富さや、外国語でのコミュニケーション能力を自慢したいわけではないけど、それでも私のようにそれほど大きな感動も興奮もなく現地の生活に馴染むことができてしまう人間も実際に存在している。

協力隊活動後に進む道、民間企業でも学校の先生でもNGOでも起業独立でも国際協力でも地域おこしでも、輝いている人ってのは少なからず、任地に来て現地の人と向き合って熱心に活動する一方で、帰国してからのヴィジョンも同時並行して考えていた人ではないかな。

海外生活=冒険って考え方も素敵だと思うんだけど、それに終始せず、Youtube見たり日本の漫画やドラマを見ている暇な時間があったらその時間をちょっとだけ、帰国後を見据えた行動というものに使ってみたらよいのではないかな、と。

そんな風に思うわけ。

 

 

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4 件のコメント

  • 冒険ってこ言葉が自分には似合いませんが、場当たり的な満足感と守られていることも忘れて不満タラタラな感じになっている自分に喝を入れてもらえるブログでした。

    ありがとうございます!!

    • がっきーさん
      コメントいただき、ありがとうございます。
      記事を書くときは自身に喝を入れることを意識していますが、その記事が読んでいただいた方にも、よい刺激を与えたということはとても嬉しいことです。
      今後ともよろしくお願いします。
      オチョ

  • とても参考になる興味深い記事ですね。ありがとうございます。
    ところで、よくボランティアの方から聞くのは実際に赴任したら要請内容とは全く違ったって不満なんですけど、
    オチョさんの場合は大丈夫でしたか?

    • ウノさん
      コメントありがとうございます。
      私の場合は大丈夫でしたが、確かに周りのボランティアから要請内容と全く違った、というケースをたまに聞きます。
      現地に要請が出てから実際にボランティアが着任するまで、1年以上経過している場合が多いので、派遣前は要請内容を鵜呑みにしない(期待しない)のが賢明です。
      もし他に質問などある場合、ツイッターをやっていましたらそちらからメッセージ送っていただく方がお返事しやすいです。
      オチョ

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