青年海外協力隊が終わったら何をする?
旅行したり、同期と再会したり、人それぞれいろいろと計画はあるかもしれません。
しかし多くの場合、避けては通れないのは青年海外協力隊の活動後の就職活動です。
帰国したらもう大きな組織に守られて途上国で悠々と過ごすことはできません。
自分の食い扶持は自分で働いて稼がないとせっかくためた貯金もどんどん削られていってしまいます。
一方でそんな疑問や不安をもった人も少なくないでしょう。
私は青年海外協力隊の活動終了後、前職よりも規模も大きく、誰もが知っている有名なグローバル企業に転職し、給料も職位もアップして入社しました。
もちろん、転職に対する価値観は様々で、給料や会社のネームバリューや上がったからといって転職成功したとはいいません。
それでも、一般的に優良とされる企業に入社できたことは事実ですので、その実体験から考える青年海外協力隊の就職活動事情について書きます。
これから就職活動を控えている人に向けて、面接や自己PRのコツなども紹介しますので参考にしてみてください。
Contents
残念ながらボランティア活動の成果は就活で評価されない
まずはじめに言ってしまうと、多くの場合、青年海外協力隊のボランティア活動の成果は評価されません。
民間企業は営利で動いています。
そんな企業において働くスキルとは、支払うコスト(給料)に見合った利益をあげられるかどうかです。
利益をあげられない人にはそれ相応の評価がつき、利益をあげる人と目に見える差が開きます。
一方でボランティアは、極端に言ってしまえば、JICAのいうことを聞いて健康に気をつけてさえいればみんな一律に評価されます。(待遇等で差をつけられないという意味で)
また活動の内容も、経済活動をサポートすることはあっても主体になって組織の損益にかかわることはありません。
このような両者の活動の性質の違いから、活動の成果を職業スキルのアピールとして使うのは限界があるといわざるを得ません。
もちろん活動の内容やその伝え方によってはアピールすることも不可能ではないです。
でもそんな風に言うと、勘違いして間違った方向性の自己アピールをしてしまう人があとを経たないでしょうから、
青年海外協力隊の活動は就職活動では評価されない
と、最初から割り切るほうがいいのです。
青年海外協力隊の経験を就職活動に生かす方法
では青年海外協力隊の経験は就職活動ではまったく評価されないのか?
いえ、そんなことはありません。
職業スキルアピールとしては使えないといいましたが、一方で、青年海外協力隊の活動の成果は人物評価の題材としては非常に有用です。
特に面接においては、
この人と一緒に働きたいと思ってもらえるかどうか
とうい人物評価は内定をもらえるかどうかの大きなキーポイントです。
私のおすすめは、
職業スキルアピール=>前職の職歴や担当プロジェクト
人物アピール=>青年海外協力隊での体験談や苦労話
といったようにアピールしたい内容の属性とそれに紐づくエピソードを戦略的に分けて自己アピールのストーリー構成を作ることです。
青年海外協力隊の2年間は実際、たくさんのかけがえのない出会いや素敵なエピソードに満ち溢れています。
だからこそ興奮した頭のまま、あれもこれもと言いたいことを詰め込みすぎると失敗してしまうので、まずは冷静なってエピソードを仕分ける作業が重要なのです。
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【属性別】就職活動に使える青年海外協力隊エピソード
それでは具体的にどのような青年海外協力隊エピソードが人物アピールに使えるのか、私なりにまとめてみました。
外国語能力(英語、TOEIC)
青年海外協力隊経験と紐づくスキルで最も就職活動を相性がいいのが外国語能力です。
特に英語能力、TOEICは、大企業への転職を目指すなら必須、もはやデフォルトのスキルといっても過言ではありません。
アフリカや中南米に進出しているような企業ならフランス語やスペイン語人材も欲していますし、マイナー言語でも、「海外適正あり」という評価を得るには青年海外協力隊の経験は十分といっていいでしょう。
ただし、気をつけなければいけないのは
言語は通じることが大事なんだ
といって語学資格やTOEICなどのスコアを持っていないケースです。
外国語能力は海外適正だけでなく、「勤勉さ」をアピールする材料でもあります。
企業に入ってからも、仕事や製品、サービス、顧客に提供する価値など、学ぶことはまだまだたくさんあります。
あまり精神的な外国語アピールばかりしていると、この人は地道な努力が苦手なのかな?という印象を持たれてしまうので気をつけましょう。
異国での苦労体験
青年海外協力隊は苦労経験の歴史といっても過言ではありません。
言語も通じない場所で文化の違う人たちと長い時間を過ごすわけですから当然です。
そんな積もりに積もった苦労体験は就職活動の場で、
- 課題解決能力
- 環境適応能力
- 耐ストレス性
といった人物アピールをするにはもってこいです。
また、海外人材としてグローバルな環境で働くには外国語能力だけでなく異文化理解に対する寛容さや適応力も求められます
ただの苦労自慢にならないように注意を払い、上記のような企業の人事が知りたい特性を上手に伝えることを心がけて苦労エピソードを選定し、自己アピールに組み入れると良いでしょう。
青年海外協力隊への参加動機
青年海外協力隊に囲まれた2年間を過ごすと忘れがちですが、途上国で2年間もボランティアをするって、やっぱり一般の人から見たらかなり思い切った決断です。
就職活動の面接では、そんな決断をするにいたった動機を必ず聞かれます。
そんなときはただ、「昔から憧れていたので参加しました」、というのではなく、
- 自分が持っているキャリアに対する意識
- 成長に対する飽くなき好奇心
こういった意思が伝わるように意識して動機を語るとよいです。
たとえばそれまで感じていた自分の置かれた環境への不満、その場にとどまり続けることへの危機感、青年海外協力隊に参加することで何を得たかったか、といったことを自分の言葉で明確に語ることで、
この人は安定や既存のルールにとらわれずに自分の頭で考えて行動できる人だ
と思ってもらえます。
終身雇用も崩壊して、日本の大企業=安定、という安定志向はもはやまともな組織なら持っていません。
企業が転職者に求めるのはただの大きな組織に従順な人材ではなく、社内のチャレンジ精神を刺激してくれるようなカンフル剤になりうる人材なのです。
自分がどのような考えを持って途上国に行く決断をしたのか、そしてなぜ今、その会社の面接を受けているのか、ということを上手につなげられると、志望動機としては割りと完璧です。
一度、青年海外協力隊の試験を受けたときにどんな志望動機を作ったか、過去の履歴書を見返すなどして思い出してみるとよいです。
転職市場における青年海外協力隊の市場価値は安くない
お金より大事なものがある!
確かにそうかもしれません。
それでも、お金は大事です!
なので、就活でも年収にはこだわって、実際に前職と比較して100万円以上年収がアップしました。
なんて、自分の市場価値を過小評価する必要はありません。
元青年海外協力隊の人材としての魅力は「ただ給料が低くても自らモチベーションを見出して従順に働いてくれる扱いやすいだけの人材」ではない、ということです。
自分の職業スキルとしての魅力と人物としての魅力を冷静に分析して自己アピールできれば、大企業だろうとグローバル企業だとうと、必要としてくれる会社はいくらでもあります。
就職活動中は刺激的な2年間のことは少しの間忘れて、
企業の面接官が知りたいことは何か?
それを伝えるための適切な方法とは何か?
こういった戦略的な分析を冷静に行えるかどうかが元青年海外協力隊の就職活動が成功するかどうかの重要なポイントだと思います。
転職の思考法はそんな就職活動を控えた全てのボランティアが読むべき本です。