現職参加が元の職場に戻ることと青年海外協力隊の目的との関係を考える




現職参加制度を利用して青年海外協力隊に参加中のオチョ(@diadecanicula)だけど、すこし前にこんな記事を書いた。

 

青年海外協力隊の現職参加だって活動後の退職は選択できる

2017-09-10

 

記事の内容を要約すると、「現職参加だからといって活動終了後に元の職場に戻るのが当たり前ではない」ということを自分の意見として書いたものだ。

特に会社員という立場から、「その会社に戻るべき価値があるかどうか」を活動終了後にしっかりと見極めるのは当然認められた権利だ、ということに言及した。

ただこの記事、読み返してみてみるとやっぱどこか冷たい・・・

自分なりに合理的な意見を書いたつもりだけど、一方で、会社に対する感謝とか微塵もない、冷めた意見だな~、と思う。

実際、読者の方から「いっていることはわかるけどどこか納得できない」というコメントもいただいた。

そこで、合理性とか損得の価値判断だけではなく、「意義」とか「理念」といったウェットで情緒的な感情でこの件についてもう一度考察してみることにした。

 

 

現職参加制度といえでも意識するのは青年海外協力隊の目的

ではそもそも、現職参加制度そのものに何か特別な意義や理念といったものが定義付けられているのだろうか?

以前の記事で、私はJICAからみた現職参加制度のメリットを以下のように考察している。

 

JICAの利点
・(社会人経験を持つという意味で)良質な人材を確保しやすくなる
・協力隊参加者はフリーターになるというマイナスイメージを払拭し、帰国者の再就職支援にかかる負担が軽減する 

 

しかしこれらはあくまで私の想像に過ぎない。

実際、JICAのホームページや現職参加制度のパンフレットなど、私が見た限りでは、

帰国後の進路が決まっていて安心⇒社会人でも応募しやすくなる

といった文脈は読み取れるけど、

現職参加制度特有の理念、例えば、「協力隊活動で培った経験を活かして元の職場に還元すべし」といった理念までは読み取れない。

 

そこで思い出すのは、派遣前訓練中に耳にたこが出来るほど聞いたあの、青年海外協力隊の目的・・・

 

  1. 開発途上国の経済・社会の発展、復興への寄与
  2. 異文化社会における相互理解の深化と共生
  3. ボランティア経験の社会還元

 

 

なかでも、現職参加制度と直接関係があるのは3番目の、

 

「ボランティア経験の社会還元」

 

これだろう。

 

 

現職参加制度とボランティア経験の社会還元との関係

上述した青年海外協力隊の理念、「ボランティア経験の社会還元」これを軸に、「現職参加制度が元の職場に戻ること」についてもう一度考えてみた。

するとやはり、必ずしも元の職場に戻らなければならないという結論には至らないのではないかと改めて思った。

理由は以下の通りである。

 

経営危機の会社では仕事どころではなく社会還元がしづらい

当たり前だけど、経営危機の会社だったら仕事どころじゃない。

ましてや不正会計だとか、不具合の隠蔽だとか、談合だとか、そのような個人の力の及ばない企業による不法行為によって崩れていく会社ではどうしようもない。

そもそも会社に戻っても仕事どころじゃない、よいう状況だったら社会還元なんて実現できるはずもない

そのような会社には早いところ見切りをつけて、別に活躍する場所を探すのがよいだろう。

 

強みを活かせない仕事ではモチベーションが上がらず社会還元がしづらい

青年海外協力隊で2年間も海外生活を経験し、そこで努力して外国語や海外の人たちとのコミュニケーション能力を修練した人であれば、当然「そこで得た力を活かせる仕事をしたい!」というモチベーションに燃えているに違いない。

日本に帰ってきて待ってた仕事が、

「会社のお偉いさんが読むための資料作り」

だったり、

「日本のお得意先訪問」

だったり、そんなのばかりだったらどうだろうか。

仕事のパフォーマンスはモチベーションに左右される。

活動を通じてせっかく心に点った火を絶やさないためにも、強みを活かし、高いモチベーションを保って従事できる仕事に就くべきである。

 

評価されない職場では人間関係もこじれて社会還元がしづらい

「仕事をほったらかして青年海外協力隊に行くようなやつは最低評価をつけておけ」

どんなに仕事が好きで高いモチベーションがあっても、それを評価してもらえず、青年海外協力隊に参加した経験をマイナスに評価するような会社だったらどうだろう。

2年という長い期間で得た経験がマイナスに評価され、同期たちが出世していくなか、自分ひとり同じ場所に留まることを強要されたら・・・

違和感は疑念へ、疑念は不信感へ、不信感は敵対心へと発展していく。

仕事とは、単に会社と社員の雇用関係で成り立つようなものではなく、そこで一緒に働く人との人間関係、信頼関係が軸になって成り立つものだと思っている

そんな軸を失った関係性ではもはや働く場所として不適切だし、その関係性を修復するのに要する時間やパワーがあったら仕事に、否、社会還元に向けたいものだ。

 

 

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現職参加制度を認めている会社は青年海外協力隊の基本理念を理解している

私は、「辞めるにしても最低1年は会社にいて恩返ししてからにしたら」という考え方が嫌いだし全く納得できない

青年海外協力隊の目的は「会社への還元」ではなく「社会への還元」であり、そんな考え方は基本理念に明らかに矛盾している。

また、現職参加制度を認めている会社は、青年海外協力隊の目的を当然しっかり理解しているものとみなしてよいと思っている。

なので私達は、この目的に基づいて会社に戻るべきか否かを判断すべきである。

そもそもなぜ社員ばかりがいつも義務を課せられなければいけないのか。

共通の理念に基づいている以上、対等に、会社に対しても義務を課してもよいのではないか?たとえば・・・

「帰国した隊員が燃える心を維持し、協力隊活動で培った力を活かせるような事業を継続せよ!」

とかね。

 

 

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一部上場企業での海外営業、シンガポール駐在を経て、いろいろあって気がついたらグアテマラでボランティア。30にして「レールから外れる」を経験した男の働き方観、離婚経験を含む生活観、そしてボランティアとして生活したグアテマラの魅力、スペイン語学習方法を中心に発信します。