日本でも公開されて大ヒットしたディズニー・ピクサー映画「リメンバーミー」
公開当時、私はグアテマラに住んでいたので日本での公開に先駆け、映画リメンバー・ミー(原題:COCO ココ)を劇場で観てきました。
映画でこんなに感動して、こんな泣いて、尚且つ観終わったあとこんなに晴れやかな気持ちになるのって初めてではないだろうか?
というくらい素晴らしい作品でした!
映画の舞台はメキシコの先住民が多く住んでいる地域で、そこで1年に1度執り行われる伝統行事、「死者の日」がこの映画のメインテーマとなっています。
「死者の日」ってなに?ってはなしですが、私もつい最近、グアテマラでの「死者の日」のイベントを目の当たりにして感動を覚えたものです。
「死者の日」は、年に一度、ご先祖様たちが死者の世界から人間の世界に舞い降りてきて、家族たちと一緒に過ごす特別な日である、といわれています
あれ、何か同じようなイベントを聞いたことが・・・
そう、この「死者の日」、ラテンアメリカの文化なんて一見日本には馴染みのない文化かと思われますが、実は「お盆」の文化ととても似ているところがあるのです。
この記事ではリメンバー・ミーを観て感動したシーンや感じたことなど、そんな日本の「お盆」文化とラテンアメリカの「死者の日」の考察を軸に、なるべくあらすじやネタバレに触れないように書いていこうと思います。
ご参考に、グアテマラの「死者の日」の様子はこちらの記事にまとめています▼
Contents
リメンバーミーが描く死者の日と私の記憶のなかのお盆
子供のときのお盆の思い出って、みなさんどんなことを思い浮かべるのでしょうか?
海外旅行?海?キャンプ?ディズニーランド?
私はベタですが、田舎のおじいちゃん、おばあちゃんのお家に行って家族と過ごした日々を思い出します。
日中はお墓参りに出かけます。
お墓参りには提灯を持って行き、お墓に行ったらろうそくに火をつけ、それを家まで持って帰ります。
「火が消えたらご先祖様が迷子になっちゃうよ」
と脅かされたので、火が消えないように慎重に、ゆっくりと持って帰りました。
夜では家族みんなで食卓を囲んで、両親はおじさん、おばさん達とお酒をのみながら昔話に花を咲かせ、私は久々に会ういとこのお兄ちゃん達に遊んでもらっていました。
そんな賑やかな夜、
「ご先祖様たちもここにいて一緒に楽しんでいるのかな~」
なんて子供ながらに想像したものです。
映画冒頭、死者たちがマリーゴールドに覆われた色鮮やかなアーチを渡って、死者の世界から生者の世界へ、家族に会いに行くシーンがあります。
みんな、にこやかな表情で、他のご先祖様と談笑しながらこの世に舞い降りてきます。
あの世とこの世とをつなぐゲートをくぐる際は、家族が未だにちゃんと、家に写真を飾っているかどうかの審査があります。
審査を通過した死者たちは安堵の表情を浮かべ、そしてどこか誇らしげでもあります。
この世に舞い降りてきても、生きている人には死者のことが見えません。
それでも、
「いつもありがとう」
と、自身のお墓にあるお供え物を受け取ったり
「あら、この子おおきくなったわね~」
と、久々の家族との再会を喜んでいます。
そんな「死者の日」の描写が子供の頃に想像した「お盆」の様子とリンクして、もう最初のシーンから感動が止まりませんでした。
死は2度訪れる リメンバーミーの世界観
人は2度死ぬ、とよく言われます。
1度目は肉体の死、そして2度目は人々の記憶から忘れ去られてしまったとき。
映画リメンバー・ミーの舞台にもそのような設定が描かれていて、この設定がストーリーのカギとなっています。
人々の記憶から忘れ去られてしまうと、死者は死者としても存在できなくなり、跡形もなく消えてなくなり、その後どうなるのか、それは死者にもわかりません。
この世界で死者の記憶を最後まで紡いでくれる存在、それは家族に他なりません
今は家族のカタチも多様化していて、やれ家族だ、やれご先祖様だ、という考え方は古臭いのかもしれません。
でももし、この映画を観て亡くなった家族のことをふと思い出すことがあるとすれば、それはこの映画リメンバー・ミーの世界観に共感したからといえるでしょう。
家族の大切さとか、家族という存在のありがたさを、改めて感じるきっかけになるかもしれません。
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もし死後の世界ならこんななら、亡くなった人のことを大切にしようと思う
死んだらどうなるのでしょうか?
天国に行くのか?
はたまた地獄に落ちるのか?
輪廻転生して別の肉体に生まれ変わるのか?
いや、それともただの「無」になるのか?
・・・
・・・
いや、わかりませんよね?
結論、そんなことは死んでみなくちゃわからん!
色んな宗教観や色んな考え方があるけど、死んだ後どうなるかなんて生きているわれわれは誰も知る術はなく、よって死後の世界なんて想像でしかないのです。
ちょっと一回死んでみる、なんてこともできないわけですし・・・
だからこそ、こうも思うのです。
どうせ想像するしかないのなら、ステキな想像の方がいいに決まってる!
と。
映画リメンバー・ミーが見せてくれた死後の世界はまさに、そんなステキな想像の世界でした。
宗教がどうこうということではなく、ほんのちょっとした「想像力」が、亡くなった人のことを大切に思うきっかけになるって、それだけでステキなことだなぁと思います。
劇中歌が最強過ぎるオススメ映画リメンバー・ミー
そんな素敵な想像の中に作られた映画リメンバーミーの世界観、最後は大号泣を禁じえません。
特に音楽がこの映画の一番の見所であり最大の感動シーンといっても過言ではありません。
アカデミー賞で長編アニメ映画賞のみならず、主題歌賞までかっさらった理由、それは、忘れないで欲しい(リメンバーミー)という亡くなった家族の願いを歌で見事に表現しているから、にほかなりません!
映画の主題歌は中南米でも人気で、私含め、グアテマラでこの映画を見た他の友人も、全部歌詞を覚えて歌えるようになっています(笑)
そのくらい劇中歌にハマってしまいます!
やはり音楽は偉大です・・・
リメンバーミーの感動シーンでラテンアメリカの文化と日本の文化が交差する
やや死生観に偏った考察になってしまいましたが、そんな素敵な想像で作られた死後の世界と家族の愛を歌った劇中歌で彩られた映画リメンバー・ミーはおすすめです!
とくに、日本独特の「お盆」の文化とラテンアメリカの文化である「死者の日」の文化に共通する世界観を意識しながら観ると、この映画の一つ一つのシーンがより一層感動的なものになるかと思います。
この背景には日本の仏教感とラテンアメリカの自然・ご先祖様崇拝の感覚が似ていることがあるように思います。
外国で仏教の話をふられたら?わたしがいつも答えている仏教感はこちら▼
それと、低いカラフルな家、中央公園の人だかり、「お腹いっぱいでもう食べられない!」というと怒りだして「やっぱり食べる!」というとニコニコしながらお皿にタマル(中米で食べられている伝統的な食品)を盛るおばあちゃんなど、中米の風景がとってもうまく表現されていて、異国の空気を存分に吸えるのも魅力。
特に中南米を旅行したり留学した経験のある人は
「うわ、なつかし~」
となること必至です!
特にスペイン語がわかる人は是非、スペイン語版で観ていただけるとより中米の空気を感じられるかと思います。
ちなみに私はスペイン語で観たので、私にとっての劇中歌はリメンバーミーではなくレクエルダメです。
この映画を観た人が、グアテマラもこんなところなのかな~、と想像してもらえたら嬉しいです。
グアテマラにあるもう一つの家族の物語、片桐はいりさんの「グアテマラの弟」も感動必至のおすすめ本です▼
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