青年海外協力隊のメリットと聞くと、なにが思い浮かびますか?
外国語が学べること?
海外で生活できること?
日本に帰ったらお金が貯まっていること?
たしかにこのような、青年海外協力隊の経験を通じて得られるものはたくさんあります。
でもこれらは、ボランティアとしてJICAに2年間奉仕した結果として得られるものであり、いわば対価です。
2年間という時間はとても長くて貴重です
その長くて貴重な時間をJICAの管理に置かれる以上、その対価を得られなければ割に合わないというものです。
もちろん、JICAはJICAで青年海外協力隊のボランティア活動を後ろ盾に予算を集め、職員の高い給料として分配しているので、そこの役務提供と対価の関係は基本的にはWin-Winであるといえます。
では青年海外協力隊の真の意味でのメリットとデメリットとはなにか?
一番シンプルにいうと、青年海外協力隊は新しい気づきを得る場所としては魅力的だが新たな行動を起こす場所としては不向きである、ということです。
どういうことか、一つ一つ解説していきます。
青年海外協力隊のメリットは新しい気づき
青年海外協力隊とは、特に一度社会人を経験した人にとって、いわばレールから半分外れた状態です。
おそらく、出世コースを歩んでいたり夢に向かって挑戦していたり大好きな人と幸せな家庭を築けていたり、そのように人生を順調に進んでいる人は青年海外協力隊になりたいなんて思わないでしょう。
何かしら上手くいかないことがあったり、「なにか違う」と現状に不満を抱いている人が青年海外協力隊という制度に興味を持つことが少なくありません。
青年海外協力隊のメリットは『レールから外れた景色を見せてくれる』ことです。
忙しい毎日を送りながらもどこか不満がある、自分がいるべき場所はここではないのではないか、でもそんな振り返りの時間すら与えられずに忙しい毎日を送る・・・
そんな人に一度立ち止まって人生を見つめなおす時間ときっかけを与えてくれるのが青年海外協力隊なのです。
環境も住む場所も話す言語も変わって新鮮な経験ができる一方で、JICAという大きな組織が運営する信頼の高いボランティア制度なのでキャリアの傷にはならない。
社会人になると本当に視野が狭くなります。
その会社の内部でしか価値がないような実績や人脈に時間と労力を注ぐ毎日にいつしか麻痺して、会社の中で評価を得るために自分を演出して、気がついたら長い年月が経過していた、というサラリーマンの現実。
5年先、10年先の自分がぼんやりと見えてしまう恐怖。
そんな同じことの繰り返しのような毎日を一旦休ませてくれる、見える景色やかかわる人を変えてくれる、インプットの時間を与えてくれる・・・
それが青年海外協力隊の最大のメリットです
なお、新卒や大学生で青年海外協力隊になる人には違った視点があると思います
青年海外協力隊のデメリットは行動の制限
このように、新しい気づきを得る場所として青年海外協力隊ほど魅力的な制度はないかもしれません。
一方で、デメリットもあります。
どんなに新しい気づきを得て、どんなに優れたビジネスアイデアが浮かんでも、それを実行に移すことはできません。
青年海外協力隊は副業や新しい事業をはじめることは禁止されています。
また、安全を理由にその行動は厳しいJICAの管理下におかれ、たとえ自費でする旅行であっても細かい条件や制限が課せられます。
青年海外協力隊の最大のデメリットは国に守られたボランティアとして縛られることです。
私はコミュニティ開発職種として住民の収益向上や経済活性化のために活動していましたが、目の前にいる「リスクを負って新しい事業を起こしている現地の人」に対して、国に守られて経済的にも生活の安全も保障されたボランティアがすべきアドバイスってなんなのだろうか?
そんな疑問をずっと払拭できませんでした。
日本にいたときも、サラリーマンとして生活のリスクを負うこともなく定期的にお給料をもらっていた私ができることとは何なのか?
生活と安全が保証されたボランティアとして悶々として何も動けない状態が2年間も続く、このもどかしさと機会損失が青年海外協力隊のデメリットです。
スポンサードサーチ
青年海外協力隊のメリット・デメリットまとめ
青年海外協力隊の2年間とはいわば、レールから車輪が片方だけ外れているような状態です。
レールから外れている分、レールに乗っているときと比べて見える景色が変わったり入ってくる情報の質や量も変わります。
それは新鮮で貴重な振り返りの時間になります。
一方で、片方の車輪はまだレールに乗っており、自由に動き回ることはできません。
このように、思考は膨らむけど前進も後退もできないもどかしい期間が2年間も続くことが青年海外協力隊のメリットでありデメリットでもあるのです。
2年後にまたレールに戻ってもいいし、車輪をはずしてまったく別の道を突き進むこともできます。
その自由度の高さはいきなり会社を辞めてフリーランスや起業して独立するのと比べて魅力があります。
一方で、JICAというお役所の束縛はもしかしたら民間企業のそれ以上かもしれません。
このような両面性があるなかで、青年海外協力隊には任期短縮という選択肢があることももっと取り上げられてもいいのかな、と思います。
任期短縮というとネガティブな文脈で語られることが多いですが、これだけ価値観の変化のスピードが速い世の中で、自分の意思とタイミングでその環境から別の環境に移る選択をすることのハードルは下がるに越したことはありません。
現に私も、任期短縮という選択をして、そのことについては一切後悔していません。
青年海外協力隊のメリットとデメリットを上手く見分けて、必要な選択を必要なタイミングですること心がけましょう。
コメントを残す