青年海外協力隊の選考試験、不安と緊張が入り混じった感情を抑えて試験会場に向かったのが遠い昔のようです。
私は、何でもいいから青年海外協力隊になりたい、という気持ちでは受験しませんでした。
ですのでこれは、そういった気持ちで受験している人に向けた記事ではありません。
最近は青年海外協力隊も人不足で毎回のように募集人数に対して定員割れしているような状況ですので、人気の無い職種を数打てばいずれ合格するでしょう。
ただ私の場合は、希望する職種に絶対に一発で合格して青年海外協力隊になるという気持ちで試験を受けたので、そういった人のための記事を書きたいと思います。
なぜそこまで切羽詰っていたかというと、私は1次選考が通過した段階で会社に対して青年海外協力隊の選考を受けていることを伝えており、合格が確定する前からその会社に留まるという選択肢を自ら断っていたからです。
その当時のことは別の記事に詳しく書いています▼
不合格になってからおめおめと、
なんて戻る場所は私には残っていませんでした。
どうしても絶対に一発で合格しなけらばならない!と、追い込まれていました。
青年海外協力隊の選考試験、実際に受けるまではけっこう狭き門なんじゃないか、というイメージを持っていましたが、実はこれ間違いで、意外と間口は広いことを知りました。
例えば2017年8月時点でJICAホームページ上で確認できた情報によると、
応募者(1185人)に対して合格者(469人)
一番競争率が高いといわれる青少年活動職種でさえ、
応募者(200人)に対して合格者(46人)
と、4人に1人は合格しています。
しかも全体の要請数に対して合格者数が下回っている状況です。
要するに、ただ「青年海外協力隊に合格するにはどうすればよいか?」と悩んでいる人がいたら「3回受ける」がもっともシンプルな解決方法なのです。
だからこそ・・・
だからこそ、絶対に落ちれない!一発で合格したい!というところまで追い込まれている人は、「落ちたらまた受ければいいや」という他の応募者と戦略的に差別化して選考試験に臨まなければいけません。
私の経験が、そんな当時の私のような追い込まれている応募者の少しでも参考になればいいな、と思ってこの記事を書きます。
Contents
青年海外協力隊の志望動機は要請一覧がカギ
青年海外協力隊の選考試験を受けようと思ったらまずは志望動機を固める必要があります。
そのために先ず私がやったことは『要請一覧』を徹底的に読むことです。
『要請一覧』とは、各途上国からJICAに寄せられている青年海外協力隊派遣要請案件の一覧のことです。
1次試験の書類選考は、志望動機や自己アピールと同時に、自身が希望する職種の希望する要請に対する思いを書くのがメインなので、『如何に自分の志望動機をその要請に当てはめて、現地での活動を自分ごととして語れるか』がポイントになります。
間違ってもやってはいけないのは、最初から安易に職種で要請を絞ることです。
特別な資格(医療、教員など)が必要な場合を除いて、自分が応募可能な職種は全て要請内容を確認しましょう。
当たり前だけど、各々の要請は一つ一つ独立していて、例え職種が同じでもその内容はバラバラです。
例えばコミュニティ開発職種のなかにも、「農業の支援」があれば「水環境の改善」もあったり、更には「何でも屋(住人のニーズを収集して必要なことをしてください、的な)」みたいのもあります。
青少年活動職種のなかには「刑務所の子供の支援」や「難民キャンプで生活する子供の支援」のような、困難な環境でする活動に興味を持ったり、観光職種にあるような風光明媚な観光名所に住んでする活動にも魅力を感じたり、自分が学生時代から趣味として続けていたラグビー職種もいいな~なんて思ったり。
先ずはそうして興味の引かれる案件、魅力を感じる案件を、職種問わず片っ端からチェックしましょう。
そうやってチェックした要請を一つ一つ、自分が活動するところをイメージしながら、「やりたい」と「経験が生かせる」を天秤にかけて、丁寧に絞り込んでいきます。
そうやって残ったのが私の場合、コミュニティ開発職種の「経済活動の支援(販路開拓、生産性向上、経済的な自立)」でした。
大事なのはこの絞り込んでいく過程で、自分はどうしてこの職種のこの案件に魅力を感じているのか、どうしてこの国に派遣されたいのか、もっといえばどうしてこの案件じゃなきゃダメなのか、というところまで自分の志望動機を掘り下げて、そこで一気に1次選考の書類を書き上げる。
ここまでやって書き上げた書類が、「自分は特に資格を持ってないからコミュニティ開発だな」などと安易に職種を選んで書かれた書類に負けるわけがない!
そう、自信を持っていいと思います。
自己アピールに使うエピソードは戦略的に選ぶ
自己アピールに自身の経験の中のどのエピソードを選ぶか、は戦術の核になる要素です。
それだけに慎重に選ぶ必要があります。
特に社会人にとって、自己アピールのエピソード選びは少し難しいように思います。
国際協力と関わりのある仕事をしている人ならまだしも、普通に営利企業で営業成績や、担当するプロジェクトが成功、などといったものは、伝え方を間違えると、ただ会社の看板ありきのエピソードに終始して個人の魅力が伝わらない可能性があります。
そこで私は、入社してから今までの業務内容や成績を淡々と話すのではなく、明確なアピールポイントを持ったコアとなるエピソードに的を絞って、如何にそれを魅力的に伝えるか、に注力しました。
因みにそのときに選んだエピソードは、インドネシアに長期出張をして人脈構築とプロジェクトの情報収集に明け暮れたときのことです。
別のブログ記事にこのときのことをまとめています▼
私がこのエピソードを選んだ主な理由は、
- 組織の看板よりも自身の頭を使ってした活動、としてアピールできる要素が比較的多かったこと
- 要請内容(販路開拓、生産性向上、経済的自立)が求めるスキル(物怖じせず突っ込めるフットワークの軽さ、コミュニケーション能力、人脈を作る過程を経験)を的確にアピールできると思ったこと
の二つです。
ここは他の応募者と一番差別化できる部分だと思うので、今までの経験を思い出し、アピールしたいポイントを如何に魅力的に伝えられるかを意識し、エピソードを選ぶとよいかと思います。
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青年海外協力隊に合格するには英語能力は必須?
私は青年海外協力隊になるうえで英語能力はあまり重要ではないと思います。
なぜならみんな、研修で有る程度しゃべれるようになるまで学習してから現地に行きますから。
私は、書類選考でも面接でも、語学力のアピールを一切しませんでした。
英語(外国語)はどれだけしゃべれるかよりも、「外国語を駆使して何が出来るか」が重要です。
英語アピールはTOEICのスコアを提出すればよく、それよりも周りといかにコミュニケーションをとって課題を解決できるか、人柄も含めてアピールしたらいいかと思います。
留学経験や海外生活経験が有る場合は、その頃の経験を、
- 英語を使って
- 海外で
- 海外の人と
が既に前提に組み込まれているエピソードを選べばいいと思います。
逆に言えば英語ができないことを弱みに感じる理由も無いということです。
青年海外協力隊として海外に派遣される前に駒ヶ根や二本松でみっちり英語は学べるし、英語圏のひとで語学取得に苦労した人、というのは見たことがありません。
逆に、フランス語圏やアラビア語圏に派遣される人はある程度の語学ポテンシャルが要求される場合がありますが。(訓練所でも苦労します)
青年海外協力隊の志望動機はWin-Winで
青年海外協力隊になろうとする志望動機、なんて何だっていいと思ってます。
私なんてただ前職の会社と対立したのを機に、海外に飛び出してスペイン語を学ぶもっともコスパのいい方法として青年海外協力隊に魅力を感じたのがきっかけです。
でも、そんな独りよがりな志望動機をそのまま面接で言ってしまうのは利口ではありません。
面接会場でたまたまお話をしたJICAオバチャンがこんなことを言ってくれました。
今時、国際協力は先進国側が途上国側に何かを一方的に与える時代じゃない。援助する側とされる側、双方がWin-Winの関係になるような援助の形を一緒に考えて作らなければならない。会社とのWin-Winの関係作りを考えていない人にそんな活動できるとは思えない。
私は面接開始30分前に、見知らぬオバチャンに準備してきた志望動機を全部書き換えさせられたのです(笑)
でもその助言をヒントに、「なぜ青年海外協力隊を志望するのか」、「なぜその手段が青年海外協力隊なのか」、「なぜ中南米スペイン語圏じゃないとだめなのか」を全て『Win-Win』で説明できるように直前で準備して面接に臨みました。
これにより、面接官の心象は独りよがりな動機を語るよりも、かなりよくなったのではないかと思っています。
そのオバチャンとのエピソードや面接の一問一答はすべて以下の記事にまとめています▼
青年海外協力隊の選考試験のことを会社に言ったか
2次選考、面接官に確実にされる質問が2つあります。
それは、
- 会社に協力隊のことを言ってあるか?
- 家族に協力隊のことを言ってあるか?
もし本当に一発で合格したい場合は、事前に言っておくことをおすすめします。
特に会社員は、会社に言うタイミングに悩むでしょう。
事前に会社に「私は青年海外協力隊になりたい」などと言っておきながら、いざ蓋を開けてみたら不合格、なんてことになったらどのツラ下げて会社に行ったらよいのか分かったもんじゃないですもんね。
合格が決まった後に、「実は青年海外協力隊の選考に合格したので会社辞めます(休職します)」といった方が安全に決まっています。
これはあくまで、そのようなリスクを負うだけの理由がある場合のみ、おすすめします。
と、私もとにかく悩んみました。
選考に落ちて上司や後輩に「あれ、お前青年海外協力隊に行くんじゃなかったっけ?」と嘲笑される悪夢も見たことがあります。
でも最終的に言うことに決めたのは、いずれにしてもこの会社で働き続ける未来を既に想像できなくなっていたからです。
つまり、落ちたら辞めればいいだけなのです。
また、現職参加での派遣を希望していたので、その手続きがスムーズに進むように根回ししておきたかったことも事実です。
現職参加についてはこちらを参考にしてください▼
何より嫌だったのは面接官に対し、「今回不合格にしてもまた受けてくれるだろう」とか「希望と多少異なる要請で合格させても辞退しないだろう」などといった“隙”を与えたくありませんでした。
こっちの本気度をちゃんと伝えたかったのです。
その代償として、面接を受けてから合格が決定するまでのおよそ2ヶ月間は本当に安心できない日々を過ごしました。
ちなみに言っておくと、そんなことをしなくても一発で合格している人はゴロゴロいます。
あとはそれぞれの人が自身の判断で動けばよいかと思います。
青年海外協力隊選考試験、不合格にならないために
そんなこんなで、私は希望する地域の希望する職種に一発で合格することができました。
合格ノウハウって個人の経験に基づいたものなので、再現性がないかもしれないし、この記事を読んであまり役に立たないと思う人も多いかと思います。
ただ、私自身、絶対に一発で合格・・・とプレッシャーをかけすぎて落ち込んだことも多々あります。
そんなとき、他の青年海外協力隊OB・OGの人のブログで選考試験を読んで、面接のイメージトレーニングをできたことは大いに役になったと思います。
私も一番最初にブログ書きたいと思ったきっかけは、そんな過去の自分のような人に少しでも役に立てる情報を残せたら、と思ってはじめました。
今はボランティアも人不足です。
語学スペックの高さや社会人としての経験値よりも、根が明るくて真面目で従順そうな人、をJICAは好むと思います。
ノウハウも大事かもしれませんが、不合格にならないためにはそういった人柄アピールも重要だということを念頭に置いて、身だしなみや声のはりなどを意識して選考試験に臨みましょう。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
初めまして。青年海外協力隊を受けるまでの境遇が少し似ていて、ついコメントしてしまいましたw。今度2次面接を受けます。ブログを読んで勇気が出ました。ありがとうございました!!
みやさん
コメントありがとうございます。おちょです。こんなコメントいただけると、ブログ書いていてよかったな~、と嬉しく思います。2次面接、どうかうまくいきますように(もう結果出ちゃいましたかね?)。